ブログを使ってITエンジニア採用手法を進めるF-Quest。同社サイトで興味深いインタビューが掲載されている。
「株式会社アプレッソ:小野CTOの『ブログで面接を公開!?仰天採用術』」がそれ。
全3回の連載だ。
インタビューに答えているのは、ブロガー、ツイッターラーとしても著名な、アプレッソCTOの小野和俊氏だ。
氏は、ソーシャルメディアを通じて、自身の生の声を発信し続け、多くのITエンジニアがそれをフォローしている。
インタビューでは、氏がそのソーシャルメディア(特に、ブログとtwitter)を使った同社のエンジニア採用の手法について詳しく語っている。
確かにブログを使ったエンジニア採用については、その可能性を感じるところだが、本格的な実践が語られることは少なく、その点で貴重な記事だ。
ところで、私の興味を引く発言を小野氏がしている。
では最後に、これから、ソーシャルメディアを使って採用したい、と思っている会社に、ひとことお願いします!
BlogやTwitterなどのソーシャルメディアを使うということは、今までに見せてない情報を、強いところも弱いところも含めて出すということだと思います。
これまでのようにつよみばかり見せて、「無敵な会社」を演出するので は意味がありません。会社の規模の大小にかかわらず、弱さをちゃんと見せることができる会社かどうか。弱さをさらけ出したうえで、何が出てくる会社なのか。そこが、今求められていることではないかと思います。
そうやって情報をさらけ出すメリットは、一言で言うと「信頼関係の醸成」です。採用はもちろん、顧客や見込顧客と、知らないうちにいい信頼関係を構築できて、良い人材採用や、トラブルを未然に防ぐといったはかり知れない効果があると思うので、ぜひ、ソーシャルメディアをうまく使いこなすことをオススメします。
強みだけでなく、弱みを一緒にさらけだすことで、目に見えない信頼関係のネットワークを構築する。それは、即効性のあるものではないけれど、いざというときに必ず効力を発揮する。そして、ネットワークを大きく育てられれば、ブランディングの、採用の、大きな武器になる…。
それは、とにかくたくさんの人に「良い点」だけをアピールするのが常識だった、TVや新聞といったマス媒体の手法とは違う、「ソーシャルメディア」ならではの特性を活かした手法です。ソーシャルメディアをいかに使いこなして自社のPRをしていくかが、企業の未来を分けると言っても、過言ではないのかもしれません。
さすがに、ソーシャルメディアを使い慣れたスマートな経営者だ。
エンジニア採用ツールとしてのソーシャルメディア、という文脈を語っているのだが、ソーシャルメディアを企業が運用する際の本質によく届いた発言になっている。
「弱さをちゃんと見せることができる会社かどうか」
まさに、インタビューワーがコメントする、
「とにかくたくさんの人に『良い点』だけをアピールするのが常識だった、TVや新聞といったマス媒体の手法とは違う、『ソーシャルメディア』ならではの特性」
という点である。
ソーシャルな情報発信は、「これが良い!」という情報の押しつけだけでは成立しない。
「どうすれば良いのか?」「ここが弱みなんだけど」といった、情報の受け手が反応を返しやすいコミュニケーションの型に持ち込まなければならない。
この点が、ソーシャルメディアが「会話型メディア」とも呼ばれる点である。
正しい、言い換えれば完全な情報は、時として押し付けに終わってしまう。
優秀なソーシャルメディアのプレーヤーは、このようなことをよく踏まえた発言スタイルを身につけている。
小野氏の発言は、この点を明瞭な論理にしてくれたのである。