野村総合研究所(NRI)が実施する大規模な調査に「NRI生活者1万人アンケート調査」があります。
本書は、調査結果が示す、インターネットがもたらす消費生活の変化を、わかりやすく整理し、独特の仮説を提示するものです。
本書がユニークなのは、なによりもかつてないほど大規模な実査をベースにしたものであること。
また、民間調査であることも含め、商品やサービスの販売を念頭に置く企業側にとり、指標となる設問が多いことも挙げられます。
さて、本書が提示する仮説の骨格は、下記の「ブロードバンド化で生まれた10の消費スタイル」です。
- マルチウィンドウ消費
- アラート消費
- テイスティング消費
- オーダーメード消費
- ロングテール消費
- スパイク消費
- スカイロケット消費
- 一点豪華消費
- 使い回し消費
- 自己責任消費
本書執筆陣は、これらIT(インターネットとそのブロードバンドサービスの普及)が寄与する特徴的な諸費スタイルを、4つの座標軸に配置して考察していきます。
- ITを道具として使いこなす
- いつでも情報がとれるようになった
- 多様な情報をとれるようになった
- ITの普及で価値観が変化
確かに、ITを道具として使いこなせる環境やリテラシーが高まったことと、いつでも情報をとれる環境が整ったことで、例えば、検索を通じて多様な情報源から最適な情報を取り出せることができるようになりました。
結果として、複数の情報源を使いこなす「1. マルチウィンドウ消費」)や、時間、空間上の制約を越え、瞬間的な消費である「6. スパイク消費」が促進されました。
本書は、なにか一点に絞り込んだインパクトのある仮説を示すものではありませんが、4つの座標軸と10の消費スタイルという構成で、現在の消費行動を大局的にわかりやすく整理しています。
マーケティングの企画立案、その説明に間違いなく役立つツールとなりそうです。