日経ビジネスONLINEの記事から。
藤田康人氏による「Yahoo!ニュース」責任者 川邊健太郎氏へのインタビュー構成記事である。
本ポストの表題は、この記事のタイトルを直接受けたものだ。
では、Yahoo! はどう「マスメディアではない」のか?
記事内で川邊氏はこう語っている。
Yahoo! JAPANは情報が集まる場(プラットフォーム)である
藤田:インターネットを利用する人の8〜9割が「Yahoo! JAPAN」にアクセスをしているほど、日本ではネットイコール「Yahoo! JAPAN」という存在になっていますが、川邊さんは「Yahoo! JAPAN」をどのような存在だと考えていますか。
川邊:「Yahoo! JAPAN」はメディア的な要素もありますが、情報が集まる場(プラットフォーム)であると考えています。
藤田:「Yahoo! JAPAN」はコンテンツプロバイダーではないということですか。
川邊:そうですね。今何が起こっているのかという情報を集められる、アグリゲーターです。例えば「Yahoo!ニュース」は情報提供をいただいている会社が100社近くあり、ニュースに対して一般ユーザーからのコメントも集めています。
テレビや新聞では一般の人たちの意見や本音はあまり掲載されていないですよね。
メディアからの情報と一般ユーザーたちの情報が集まる。そういったことを考えると「Yahoo! JAPAN」は情報の場なんです。
(マスメディアというより)「コンテンツプロバイダー」ではなく、「情報が集まる場(プラットフォーム)」であると述べられているのが、ポイントである。
むろん、Yahoo!が、もしくはYahoo! ニュースがコンテンツプロバイダー(コンテンツを作り、提供する者)ではないことは承知されている。それがポータル事業者であるYahoo!の特徴だ。
しかし、もうひとつ重要なことが述べられている。
「ニュースに対して一般ユーザーからのコメントも集めています」。
ニュースの書き手たるコンテンツプロバイダーが「メディア」というなら、それをアグリゲートするYahoo!もメディアと呼べなくもない。しかし、同時にYahoo! は、「一般ユーザー」の声も収集しているというのである。
言うならば、ニュースの発信と受信の双方から情報が集まってくる「プラットフォーム」である。これが“非マスメディア”宣言の背景というわけである。
ここに、従来のマスメディアには思いも及ばなかった付加価値、ニュース(コンテンツ)への書き込み自体をもコンテンツとする場を創造していることへの自負が見て取れる。
私見では、Yahoo!がここで付け加えている価値は、アグリゲートされている多くのニュースコンテンツに比べ、まだまだ大きくはなっていない。
しかし、Yahoo! ニュースがアグリゲートしているコンテンツ群が、従来よりは非マスメディアへ意図されたシフトを見せていることを考え合わせると、巨大な読者吸引力を有するYahoo! ニュースが、コンテンツプロバイダーの供給するコンテンツと、一般ユーザーらによるコメントというコンテンツとに、対称的な重み付けをしていこうとする戦略が伝わってくる。
では、私たちメディア屋(コンテンツプロバイダー)はどうできるのか? という問いに向かうことになる。