リクルートの仕掛ける、クラウドソーシング型クリエイティブ(アド)の試みが「みんなのクリエイティブエージェンシー:C-team」だ。
ちなみに、この企画は同社の社内ベンチャー育成機関(?)によるものらしい。
『C-TEAM(シーチーム)』の運営は、株式会社リクルートの実証・研究機関であるメディアテクノロジーラボが行っています。
メディアテクノロジーラボは、リクルートが培ったメディアの知見と、テクノロジーの観点から、新たなメディアやコミュニケーションのありかたを研究開発することを通じて生活者にとって適切で利便性の高い情報流通が行われる豊かな情報社会の実現を目指しています。(メディアテクノロジーラボ サイトのリリースから)
C-teamとは、「我こそは」というクリエータが自主的に登録(現在のところ、5,700名を超える登録者—もっとも、私のような人間も登録してしまっているのだが)、C-teamが仲介する案件(出稿企画)に対して、バナークリエイティブを応募(現在のところ、1万5,000件を超えるクリエイティブが応札している)する。採用になったバナークリエイティブ(複数を採用するらしい)は、トラフィックのあるポータルなど広告枠に掲載され、CTR(クリック率)を計測。最終的にCTRが高いクリエイティブを本採用として扱うようだ。
興味を引くのは報酬モデルだが、以下のようになっているらしい。
応募したクリエーターには、“採用”対価として「500円」が支払われる。これにCTR1位に「50,000円」、2位「20,000円」、3位「10,000円」が加わる。どうやら従量制の支払方法は採っていないようだ。
本年1月下旬スタートなので、実績を問う時期にはないだろう。
先に触れたように、クリエーターの登録者数は十分な数を獲得できている。応募数もそれなりだ。
問題は、C-teamを使って出稿しようとする広告主の獲得が不十分のように見えること。
一覧を見ても、ざっと数えて純粋な出稿企画は十指で数えられそうな程度。
それ以外の多くはリクルート社社内媒体の出稿企画が掲げられている。
この点について思いを巡らすと、課題が見えてくる気がする。
それは、要するに出稿主を獲得するには、同社の従来型の営業力を駆使することになっているようだということ。
この辺りをどうブレークスルーできるか。
もうひとつ。クリエーターをネットワークし、機動的に案件をこなせるように……というアイデアは、私自身も別分野ながら考えたことがあるのだが、C-teamも同様の課題を有するように見える。
それは、従来の広告主→エージェンシー→個別クリエーターという業界の掟をモデル上模倣していることが気になる。
私の妄想だが、やはり別の回路が必要ではないか。
コンシューマが、自ら(勝手に)宣伝をしてやろうという、モチベーションの発露から“壁”を越える回路を創り出せないものか……。
非常に興味を引かれる事業企画だからこそ、勝手な論評に踏み込んでしまった。