SNSが個々に持つ、登録ユーザーのプロフィール情報。また、ユーザー自身が明示的に登録せずとも、SNS内のコミュニティやサービスをどのように活用しているかなどの履歴情報。
このような、SNSとユーザーの関係について肝となる情報を、業界内で標準化してAPIを通じて利用できる仕組みづくりが進んでいる。大ざっぱに言えば、これがOpenSocialの流れということになる。
オルタナティブブロガ大迫正治氏のREPEDANT BLOGはこの分野の可能性について示唆があり、興味深い。
大迫氏の整理に拠れば、たとえばOpenSocial APIを通じてある使える情報には、下記のようなものがあるという。
OpenSocialについて少し概要を確認すると、現段階(v0.7)でのOpenSocial APIは、ユーザーが持つ
- プロフィール(自分自身)
- ソーシャル・グラフ(友人ネットワーク)
- アクティビティ・ログ(サイト内での行動履歴)
に関する情報にアクセスすることを可能にする(今後もっと増える)。
大迫正治 REPEDANT BLOG > OpenSocialを利用したビジネス向けアプリケーションの可能性 : ITmedia オルタナティブ・ブログ via kwout
この3大要素が使えるというだけでも、APIを使ったサービスやアプリケーションをすぐにでも企画したくなるというものだ。あるSNSユーザーのパーミッション(同意)が得られたアプリケーションは、そのユーザーページに、その仲間に向けたEC機能を提供できるだろう。
また、プロフィールに含まれた業務経歴に向けた的確なキャリア関連サービスも提供できそうだ。
実のところ、OpenSocialの取り組みは最大成長SNSであるFacebookの独自API開放路線に対して、その他SNSの対抗活動という側面がある。Facebookは開放戦略に先鞭を付けることで大量のユーザー向け3rdパーティアプリケーションを獲得できた。これがFacebook急成長の大きな要因となった。
したがって、OpenSocialが勢いを得るのかどうかは、政治的な動きである側面も加味して見守らなければならないのだが、それにしてもだ。
ひょっとするとFacebookが先鞭を付けたAPI開放戦略が、結果として対抗勢力にさらにオープンであるAPI策定のリアクションを引き起こしているとすると、面白い現象だ。
上に述べたように、開放される3大要素を的確に使ったパーソナルアプリケーションやサービスをSNSユーザーに対して提供することは、当面の間、Webビジネスの大きな市場とイノベーションのタネとなることは間違いない。
もちろん、日本ではMy SpaceもFacebookも存在感は薄い。やはりOpenSocialに手を挙げたmixiがライバルのいない間に、自ら開放路線に転じることができるのかどうか。これは、今後のWebビジネスを考える者として無視できないポイントなのだ。