ITmedia Newsの記事から。
ネット上の情報資源を使い倒している人にとっては、「なにを今さら」という話題かもしれない。
しかし、私にとっては、想像力を刺激する調査結果だ。(ただし、オン・ネットでのサンプリングといい、サンプル規模といい、あくまでも“参考値”とすべきか)
自らに最適な賃貸住宅の発見手段とは、従来以下のようではなかったろうか。
- 目的の場所から考え、その地域に出向き、地元不動産業者に照会する
- 各地域の物件情報を掌握している大手不動産業者の、身近の店舗で照会する
- 賃貸物件を収集した有料誌を閲覧、検討する
- 同上、無料誌を閲覧、検討する
- Webで“ばらばらに発信されている”物件情報を収集し、検討する
- その他、新聞折り込みチラシその他に注意を払う
個人的には、賃貸住宅を探す機会は当面ないのだが、この商材を“探す”=“比較する”という行為は、積極的な行為であると想像する。この点で、偶発的な購買行為に結びつきやすい商材と大きな差異があると考える。
この「積極的」な面からすると、チラシや張り紙といった偶発的な情報取得は、(かつては、そんな情報源に依拠しなければならない制約が大きかったとして)いまや、まったく満足感を得られない。
注意を払わないと情報を得られないし、また、良い物件に出会ったとしても、物件情報を網羅していない選択には、不安や懸念が伴う。
この点で、思い立った時に(積極的な状態に)情報探索が可能という点で、Webベースの情報+その検索行為は、この商材に適性が高い。この点は、将来にわたり王道な行為となるだろう。
ところで、別の命題についても考えなければならない。
「賃貸住宅」という商材は、生活の基盤(環境)として重要な要素であり、高額な固定費を継続的に支出しなければならないという意味で、経済的に重要な要素であり、そして、近隣の生活圏、職場、学校などとの連携での、生活再生産基盤としても大きな要素である。
なにが言いたいかというと、賃貸住宅の選択という行為には、スペック(定量的、言い換えればデータベース的)上の比較選択が伴う。と同時に、住みやすさ・暮らしやすさ・生活行動のしやすさなどの定量的な探求が必須であるということだ。
この点は、学卒ならびに中途、派遣等を問わずキャリア系の意思決定についても同様だ。そこでは定量的要素より定性的要素のほうが影響が大きいというケースがある。あるいは、定性的要素においてミスマッチが生じやすいと言ってもよい。
キャリアをめぐるマッチングについては、雇用する側と就職する側の双方に、ミスマッチ上のリスクがある(会社に不適な人財を採用しては、結局、ROIが低下する)。したがって、情報精度を上げていく動機が双方に存在する。
ところが、賃貸物件やその他各種商材となると、どうしても「ともかく、売れさえすれば良い」といった、需要者と供給者の間に非対称性なリスクが残ってしまいがちだ。
これを克服する手法が、私のビジネス観に関する継続的かつ大いなる課題だと考えている。
高額であり、将来にわたり影響大な商材購入という行為がオン・ネット化するのは、定量情報の網羅という点で必然である。また、その意義は大きい。
では、定性的な部分における意思決定をどう、オン・ネット化できるか。そこには、単純だが、まだ現在は解けていないビジネス上の王道が隠れていると思う。そんなことを思い出させた記事だった。