asahi.comの記事より。
うーむ。幼年期の、父親と過ごす体験=忍耐を学ぶ、という図式ですか。
1歳の時、休日に父親と過ごす時間が長かった子どもほど我慢強く、落ち着いて話を聞けるようになる。厚生労働省の「21世紀出生児縦断調査」で、こうした傾向が浮かび上がった。子育てに父親の参加が大切なことを示すデータだと厚労省はみている。
調査は、01年生まれの子どもの親を対象に01年度から毎年追跡して調べ、6回目の06年度は欠かさず回答した約3万6千人分を集計。5歳6カ月になった子どもの行動を、2回目(1歳6カ月時点)に聞いた「休日に父と過ごす時間」と照らし合わせた。
気になるのは、「子育てに父親の参加が大切なこと」という結論が、鮮明に用意されていること。
調査設計を行った主幹の“思想”なのだろう。この結果を得たいがための調査となっている気配を感じてしまう。
さて、そうは言っても、自らの“性格”を振り返っても、いろいろ考えさせるものがある。興味深い調査に間違いない。
私の理解はこうである。
1歳未満の幼児にとり、母親は全面的に自らの恣意性を容れてくれる存在である。
逆に、母親に拒否されることは幼児にとり、存在そのものの全的否定という“直接的な影響力”をもたらす。
他方、父親という存在は…。要するに母親との関係にある“直接性”と対極にあるのだろう。
「休日」ごとにやってくる父親との接触は、おそらく幼児にとり、母子関係の外にある社会との原型的接触を体現する。
社会的な体験を積み重ねることが、父親と過ごす体験の意味なのだろう。
幼児にとり「我慢強い」とは、母子関係にある直接性を、とりあえず留保する(我慢する)経験の総称と言える。